概要

歯以外が原因でも歯で痛みを感じることがあります(非歯原性痛)。歯の治療をいくらしても歯以外が原因では痛みはとれません。
その仕組みについて説明しています。

歯以外が原因でも歯で痛みを感じる仕組み

顔の同じ領域をカバーしている感覚神経に刺激が入ると三叉神経脊髄路核の侵害受容器に電気シグナルが入ります。そしてそれに隣接する侵害受容器にも興奮シグナルが波及します。隣の侵害受容器は顔の別の領域をカバーしています。従って大脳皮質に情報が上がって行くときには興奮シグナルをもらった複数の受容器から入ります。大脳皮質では顔の複数の領域をカバーしている場所が痛いと感じるようになります。従って歯が痛くても、原因は隣の歯や同側の対合する歯や、その神経領域内の筋肉や粘膜での傷害であることもあります。

顔面領域の感覚神経の範囲は縦方向の帯状分布をなしている

顔面領域の感覚神経のカバーする範囲は縦方向の帯状分布をなしています。 例えば、上の奥歯の神経と下の奥歯の神経と咬筋(奥歯を咬むときに使う筋肉)の神経は同じ神経が担当しています(三叉神経脊髄路核の侵害受容体に入る) 。従って筋肉が傷ついても歯で痛みを感じることができます。

歯と筋肉は同じ神経

歯と筋肉は同じ神経です。 側頭筋が傷害を受けると上の前歯から奥歯のどれか1本が疼いたり重い感じがします。 咬筋が傷害を受けると上下の奥歯どれか1本が疼いたり重い感じがします。

痛みの種類

痛みの種類には、以下の3つがあります。 ①筋肉系:鈍痛、うずき、重い感じ ②神経系:ぴりぴり感、ひりひり、じんじん感(電気的) ③血管系:ずきずき感、どくどく感(鼓動的) 歯の感覚神経と筋肉の神経は三叉神経の中で同じ神経を共有しているので筋肉痛が原因でも歯が痛くなる場合があり、またその逆の場合もあります。